• 2022.02.15

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    Falsehood and Truth

     

    ウクライナ情勢が逼迫しています。米国ではロシアによる明日16日の侵攻の可能性を指摘する報道が相次いでいるようですが、その信憑性には疑問符がついています。ウクライナ政府は米国が過度に戦争の可能性を煽っていると不満を示しました。

     

    今問題となっているのは、ソ連が冷戦終息(1990年10月のドイツ統一,1991年末のソ連の解体)とともにワルシャワ協約機構を解体して衛星国だった東欧から撤収した後に、北大西洋条約機構(NATO)は急速に拡張政策を展開し、チェコ、ハンガリー、ポーランド(以上1999年3月)、エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア(以上2004年3月)、アルバニア、クロアチア(以上2009年4月)、モンテネグロ(2017年6月)北マケドニア(2020年3月)の計14か国を加盟国に組み入れ、今般ロシアと国境を接するウクライナの加盟へ照準を定めたことにあります。

     

    1990年2月9日ゴルバチョフ書記長との会談記録の中で、ソ連が旧東ドイツにNATO軍が進駐すると更に東欧の国々に勢力を拡大することを懸念していることに対して、ベイカー米国務長官が「NATOの枠組みの中で米国がドイツでその存在を継続することは、NATOの軍事的管轄が東方へ一インチたりとも広がらないことを保証する意味で、ソ連だけでなく欧州諸国にとっても重要なことだと理解する」と述べたとされていますが、これが公文書に明文化されなかったことが問題を複雑にし、プーチン大統領は米国が約束を破ったと非難しています。

     

     

    ウクライナは2019年ゼレンスキー現大統領が就任すると、NATOの強化機会パートナーシップを結び、去年6月には黒海でNATO軍とウクライナ海軍との共同演習を行い、加盟への動きを加速させています。

     

    ロシアはこれらの事態を重大な国家安全保障の危機と捉え、最早このまま座視することはできないとの覚悟を固めました。ロシアにとって米英の軍事基地がウクライナに置かれると、米国のキューバ危機に匹敵する脅威になります。

     

    ソ連は1941年の独ソ戦争では、ドイツ軍がウクライナを経由してレニングラードを封鎖侵略したことにより数百万人が餓死し、スターリングラードの攻防戦では200万人が、第2次世界大戦中には2500万人が犠牲になった歴史を経験しました。

     

    プーチン大統領は、米欧諸国に東方拡大前の1997年の状態まで軍備配置を戻すこと、国境付近に攻撃的兵器を配備しないこと、ウクライナへはミンスク合意(2014年9月および2015年2月に、ウクライナ政府と同国内の親ロシア派間で交わされた停戦合意協定)を履行する事を求めていますが、様々な利権が絡み合い米欧が素直にこれに応じる気配はないようです。

     

    ラブロフ外相は協議を継続する姿勢をプーチン大統領と確認しているようですが、このまま米欧との妥協点が見つからなければ、軍事衝突は避けられないのかもしれません…..rangert1