• 2022.03.10

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    Dr. Strangelove_dead hand

    Dr. Strangelove_dead hand

     

    1964年に故スタンリー・キューブリックが監督した名作コメディ「博士の異常な愛情」の終盤で、ソビエト連邦のDoomsday device(邦訳「皆殺し兵器」)が登場します。これはコンピュータで全自動化された報復装置で他国から核攻撃を受けた場合、センサーが働き自動的に発射ボタンが押される仕組みになっています。この発射された水爆には半減期が100年という放射性物質が入っており、これが成層圏から地球全体に落下して地球上の生物を全て死滅させるという終末兵器でした。しかし、抑止力として配備されたこの最終兵器の存在を、公表していなかったことが最大の失敗でした。

     

    1985年ソビエト連邦は、DEAD HAND(死の手)と呼ばれる自動核兵器制御システムの運用開始を公表しました。現在のロシアではこれをAIが制御しており、他国から核攻撃を感知し自国の指揮命令系統が破壊されたと判断した場合には、約1,600基といわれるICBM発射基地、戦略爆撃機、戦略核潜水艦へ自動的に発射命令を下します。大統領が暗殺された時も発射命令がプログラムされているかもしれません。

     

    これらのミサイルの半数以上が16個の多弾頭式で、子1発が広島型原爆の62倍という驚異的な威力があり、2019年から実戦配備された極超音速滑空体も搭載しており、現在の防空システムでは迎撃が不可能といわれています。因みに日本の首都圏は1基で、米国は10基で壊滅状態にできるとされています。

     

     

     

    現在、NATO諸国や米国は、経済制裁のほかに武器、弾薬、ミサイル、ドローン兵器、そして義勇兵をもウクライナ軍へ送っています。

    更にゼレンスキー大統領はNATOにウクライナ上空に飛行禁止区域の設定や、ポーランドが所有する旧ソビエト製戦闘機の供与を求めました。

     

    ポーランドはNATO加盟国であるので、これらの戦闘機供与が実施された場合には、ロシアはNATOが参戦したものと見做します。

     

    これによって仮にロシア軍の戦況が悪化、または経済制裁が効いてプーチン政権が追い詰められた時には、核兵器の使用を決断するかもしれません。この過程でNATOが核報復をすれば戦火の拡大は、最早誰も止めることはできないでしょう。第三次世界大戦は間違いなく何処にも勝者はいません。

     

     

    1991年にソビエト連邦が崩壊し、ロシアは欧米の巨大資本の草刈り場となりGDPも6割まで落ち込んで、社会主義国家の看板政策である医療保険や国民年金も半減崩壊しました。街は路頭に迷う高齢者や失業者で溢れ返り、治安は悪化し国土は荒廃しました。1998年にはロシア通貨危機による国債のデフォルトを経験しています。

     

    ソビエトKGB時代から、祖国の衰退と屈辱を見てきたプーチンは、大統領に就任後、ロシア復興に全力を注ぎました。しかし、欧米NATOは、その後も東方拡大政策を加速してウクライナまでをも射程に入れました。

     

    プーチン大統領は、「ロシアは喉元にナイフを突きつけられたと…座して国家の滅亡を見ることはしない。」との信念のもとに世界からの批判を覚悟の上で、今回の軍事行動に至りこれを完遂するものと思われます。

     

    果たして、国民の命を犠牲にしてでも国を守る姿勢を崩さないゼレンスキー大統領は英雄なのか、それともロシアの滅亡を願う者たちにただ利用された愚者なのか、

    一方、プーチン大統領は狂人化した独裁者なのか、それともロシアの救世主なのか、

     

    何故、人間はこのような悲劇を何度も繰り返すのでしょうか?

     

    私たちは、戦時下に於けるプロパガンダ、偽情報、報道統制等に惑わされたり、感情に支配されてはいけません。

    各国政府は、早急にこれ以上に緊張を高めないような冷静な判断と解決策を見つけなければなりません。

     

    今度判断を誤ると、人類の命運を決めるのは、DEAD HANDのAIなのかもしれません…..rangert1