• 2025.07.23

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    FM Acoustics_Forbidden Fruit

    FM Acoustics_Forbidden Fruit

     

    2001年頃?有楽町の東京国際ホーラムで開催された東京インターナショナルオーディオショウを見に行った時のお話です。

    その頃、オーディオに大変興味を持っていたのですが、普段では中々聞くことのできない、そして全く手の届かないハイエンド機器:例えばMark Levinson、McIntosh、Cello、Krell等の実演を大音量で聞くことが出来ました。どのブースも其々に素晴らしい音を奏でており満員御礼の大盛況で大変盛り上がっていました。

     

    一通りのカタログを一杯両手に抱えて満足し、そろそろ帰る時間になった頃、それに出会いました。

    その小さなそして閑散としているブースから静かに流れ聞こえるピアノは、真にこれまで聞いたことがない天からの啓示、それは生演奏をしているかのようなバッハの平均率クラビーア(G.グールド)を奏でていました。

    そして、私は吸い込まれるようにそのブースへと足を踏み入れてしまったのです。そのブース(AXISS)の担当者は私を快く迎えてくれました。

     

    そこにはまるで宝石箱のように美しいプリアンプ(FM268)、モノラルパワーアンプ(F-50B)が鎮座していました。そして丁寧にそのアンプ達を紹介してくれました。

    それにはWadia2000S、STが接続されており、試聴用で持参したケルン・コンサート(キース・ジャレット)とバラード(ジョン・コルトレーン)のCDを何曲かかけてもらいました。

     

    その澄み切った一音一音が心に染みわたり、この世のものとは思えない体験をしました。しかし、その時私は完膚なきまでの挫折感に見舞われたことを覚えています。

    その価格は、当時FM268が750万円、F-50B(ペア)は490万円+消費税3%で、家一軒買えそうな値段であり私の収入では購入なんぞ別世界のレベルでした。

     

    そういえば昔、先輩が「オーディオには最後の聖地があって、不用意に足を踏み入れてはならない場所がある」と言っていたのを思い出しました。

     

     

     

    因みに後継機FM268-RCの現在価格は、金3,950万円也、ステレオアンプ1811-MKⅡは、金5,070万円也….遥か宇宙の果てまで飛んで行ってしましました。

     

    私にとって禁断の果実は真に甘すぎたのかもしれません…..rangert1